今週は出張でテネシー州ナッシュビルにきている。ナッシュビルといえば、カントリー音楽の聖地。2001年に某タイヤメーカーの監査でナッシュビルには一度来たことがある。久しぶりなので楽しみだった。
今週から本格的にプロジェクトが始まった。通常僕らの仕事は買手側のアドバイスなのだが、今回は売り手サイドのデューデリジェンスだった。クライアントとのミーティングを朝から午後半ばまでやっているときにCFOの携帯が鳴った。ちょうど良いタイミングだからミーティングを一度打ち切り休憩にした。しばらくたってもCFOがもどってこなかったからどうしたんだろうと思っていたころ、クライアントであるPEファームの担当者が僕らに言った。「このディールは中止になった」と。
最低でも3週間くらいはナッシュビルにいることを覚悟していたので、拍子抜けした。今までいろいろな経験をしてきているけど、ここまで急にディールが中止になったのははじめてである。資金調達計画がやはり大幅に変わったらしい。今の経済状況の中で、事業を売り急いでも、それほど大きなキャッシュは望めないので、売ることをいったんやめることになったらしい。
ということで5人のプロジェクトチームメンバーと、ナッシュビルの夜の街にくりだした。目抜き通りであるBroadwayの様子は2001年と基本的にあまり変わっていなかったが、新しい建物は多かった。一番混んでそうなライブハウスを選んで入ってみた。ちょうどバンドの演奏がはじまったところ。カントリーすぎず、ロック調で良い感じ。最初はオリジナル曲をずっとやっていたが、だんだんカバーソングを演奏しはじめた。Van Halen, John Mellencamp, Bon Jovi, Brian Adams, Tommy Totone等々80年代ロックのオンパレードで、すごい盛り上がり。バンドの生演奏を聞くのも久しぶりで、懐かしいナンバーが続いて(そして仕事が中断してしまった気楽さもあり)ものすごく楽しい夜だった。
早速Bon JoviやVan HalenのCDをオーダーした。
今日もうひとつおかしかったのは、僕らにディール中止を告げたPEの人はドイツ人だったんだけど、ドイツ人はまじめな顔をして冗談をいうので、ディール中止のニュースが冗談なのかほんとなのかわからなかったこと。"You are kidding us right?" と何度もきいたけど、まじめな顔をして "No I am not" というだけ。ドイツ人には冗談が通じない。
このプロジェクトのためにスイス・チューリッヒ事務所のスタッフを一人呼んでいた。彼女は昨日ついたばかり。わざわざアメリカのナッシュビルまで飛んできて、すぐにかえってもらうことになってしまった。かわいそうに。